YAMAHA RS7000
- tokyonagaremono
- 2015年11月13日
- 読了時間: 4分

ヤマハのシーケンサー+PCMシンセサイザー+サンプラーのお化け。
2001年に発売され、メディアはスマートメディア。
サンプリングしたものはもちろん、シーケンスデータも本体に置いておけないので、スマートメディアでのやりとりが面倒くさい。
これが欠点1。
次に、ハードウェアキーは壊れやすい。欠点2。
それを除くと、本当に素晴らしいグルーブボックスで、充実したシーケンス機能、程良く使えるPCM音源、エディットのしやすいシンセサイザー機能、結構良い音のサンプリング部、効きの良いエフェクトと完璧な機械だ。
いま、パソコンで何でも出来てしまうこの時代からすれば数MB単位のデータを扱えないショボさだ。
データが重くなると色々フラフラするし、巨体で重量もあるので、今の技術でRS7000を見てみたい。
ヤマハさん、作れないですかね?
もっと突っ込んで紹介してみると、下記のような特徴です。
1,意外と良いPCM音源
やっぱりフロア向けの機材なので、リズム音源としては充実していて、オールジャンルの音が入っています。TR-909、TR-808っぽい音もRoland MCシリーズより個人的には使える音で、これだけでも十分な価値です。インダストリアル系の音なんかも使えて、ヒップホップ系の音も大丈夫。生ドラムも普通に使えます。リズム系に限らずで、エスニック系の音も充実かつ色気があって使えます。SE系も種類が豊富で、相方のロリコ君はそのへん上手く使ったアンビエンスとかドローンっぽい雰囲気を出していました。ショボイとも評されますが、相当なリアリティを求めないかぎりは、音源部は安心していいですよ。ここにないのはサンプリングでカバーしましょう。
全体的な出音もそこまでハイファイではないけど、扱いやすくしっかりした音です。
2,ライブに充実すぎる機能たち
「リアルタイムループリミックス」機能が本当に賢くて、2015年現在、Roland AIRAシリーズの「SCATTER」とかSugerbytesの「Turnado」に勝るとも劣らないというか、それ以上というか・・・。
この機能、単純にMIDIシーケンスを16部音符単位で区切って区切り方と刻み方を変えて並べ替えるだけですが、サンプル音源部はもちろん、MIDI音源部にも有効(ただしリバースは効かない)です。
僕はタムを適当に打ち込んだフレーズを、リアルタイムループリミックスでどんどん変化を付けていくパフォーマンスを披露したりしてました。
MIDIシーケンスにディレイ効果をつけるMIDIディレイや、トラック毎にディレイ、リバーブ/コーラス、その他エフェクト、マスターエフェクトでもトリッキーな効果は狙えるし、ピッチも簡単に変化できて、主要なシンセサイザー感覚の各種エディットもツマミが出ていてるのでやりたい放題です。
ライブパフォーマンスでこれ一台で困りません。
3,流石はヤマハのシーケンス部分
シーケンスの書き込みはリアルタイム、ステップはもちろん、Roland TRシリーズ方式の書き込みも可能です。QYシリーズ譲りのステップレコーディングとエディット機能で、QYほどじゃなくても快適に作業できます。
その他、かなり多機能ながらもボタンも沢山あって設定も階層を深く辿らなくて済むので使いやすいです。まぁ探すのはちょっと大変ですが。
16トラックのMIDIシーケンスもフレキシブルな設定(2系統のMIDIアウトポートにも割り振れる)も可能で、外部音源の取り扱いを含めてメインシーケンサーとしてもしっかり使えます。
4,シンセサイザー機能を評価してみる
先ずフィルターは、この時代のデジタル臭さは感じるものの、発振気味のキツい音も暴れすぎず(同年代のRolandで同じことをすると暴れすぎて嫌い)、ギリギリ使える印象です。控えめのセッティングが無難ですが。
エンベロープはややチグハグで効きのよく解らないポイントがあったりします。スイートスポットは狭い。この世代のデジタルシンセとしては標準的ともいえる。
エンベロープはアンプ、フィルター、ピッチに独立して設定することが可能です。
LFOは波形が豊富です。掛かりとしてもきちんと掛かるというか、エゲツナイ感じもしっかり出せた記憶があります。LFOもアンプ、ピッチ、フィルターに独立して掛けられます。
東京流れ者のライブでは、2011年の中心機材でしたが、その後はAcid Technoのアーティストのライブでも使われる事のある、「知る人ぞ知る」グルーブボックス系機材です。
説明書なしでは使いこなすのは難しいですが、その甲斐がある充実した機械です。
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